北海道の方言として知られていると思われる「なまら」という言葉。
この言葉、実は古くから(現在も)全道で広く使われている言葉ではないです。
私は北海道民(父は樺太引揚者、母は函館出身)ですが、家でこの言葉を使ったことがありません。
小学校は低学年まで(〜1972年)釧路市でしたが、周りで使っているのを聞いた記憶もありません。
高学年になって旭川市に転居(1973~1977年)しましたが、そのころ初めて周りの友人が使い始めたのを認識しました。
中学生になって小樽市に転居して、同じ道内でも旭川市と小樽市では言葉がちょっと違うことに気づいたのですが、「なまら」は使うんだ。と思った記憶があります。
ところがその後、小樽市で高校に進学し、現代国語の先生が「なまら」という言葉は数年前から自分の周りで使われるようになった言葉で古くから使われている言葉ではないという趣旨のことを授業の雑談の中で話されて(1980年ころ)、ああ、自分の認識とあっているな。旭川市も小樽市も同じなのかと思ったことを記憶しています。
このことから、古くから使われていた地域もあるのかもしれませんが、少なくとも、全道規模では認識されていた言葉ではないことがわかります。
実際、誰もが使うわけではなく、全く使わない方もいらっしゃいます。
また、義父(妻の父)は道内の中学校で校長まで勤めた人なのですが、自身の集会での講話や学校だより等の原稿を記録にまてめていて、その中に次のような文章がありました。
中学生の間で、仲間同士だけで通用する独特な短い言葉遣いで話すことが流行っているそうである。〜(中略)〜「なまら」(とても)、等代表的で、…
平成4年12月10日
義父は小樽出身で、小樽市や千歳市、恵庭市等道央を中心に中学校で勤務しました。
少なくともそれらの地域では、「なまら」は一部の若者以外では使われることのない言葉だったことを示していると言えるのではないでしょうか。(義父は既に他界しており確かめる術は無くなってしまいました)
根拠は定かではありませんが、ラジオDJから広まったという説もあり、
上述の事柄と照らし合わせてみると、納得のいく説のように思います。
一方では、道南の漁師町で使われていたという証言もあります。
北海道で「なまら」って日常会話で言いますか? - 私は北海道民ですが、道内のどこへ行っても日常会話で「なまら」は聞いた事ありませ... - Yahoo!知恵袋
だからといって北海道民みんなが使う方言だということにはならないでしょう。
にもかかわらず、北海道をフューチャーする商品やキャンペーンなどで「なまら×××」などというキャッチコピーがときどき使われるのですが、私は、なにかムズムズする思いでそれを聞いているのです。