2017年のスリランカ観光で訪れたスリランカの国立公園の一つシンハラジャ森林保護区は、 1978年にユネスコの生物圏保護区に指定、1988年には世界遺産リストにも登録された。
近くの宿泊先でさらに得難い経験をすることができた。
秘境を思わせるロケーション
ツアーの日程に組まれていたスーペリアクラスのホテルが満室のため代替で案内されたのがこのホテル。
地元のガイドが初めて来たという。車で行けるんだろうかと思うような登り坂の細い道を行く。
あいにくの雨(ただし名前の通り雨の多い土地)で、滑りやすい道をタイヤをスリップさせながらやっとの思いで辿り着いた。
エントランスから客室まで野趣あふれる造り
石をくりぬき、あるいは積み上げ、土を塗ったような簡素な作りの秘境感いっぱいの建物。できるだけ文明を排し、自然そのものを体験させようという趣向か。これがなかなか徹底している。
メインの建物から、屋根付きがだオープンエアのダイニング、プールを通り抜け、何室か連なった離れ風の客室に案内される。
文明の喧騒を忘れさせてくれる客室
客室は、電灯・電源・天井のファンはあるものの、エアコンはもちろんテレビや冷蔵庫もない。
トイレとシャワーが露天、つまり部屋の外にある。壁で囲まれていていちおうプライバシーは保たれていて庇の内側に位置してはいるがオープンエアなのである。
まあ、日本の温泉によくある客室露天風呂も考えてみれば同じ仕組みと言えなくはないが露天トイレは初体験である。
庇があるので小雨程度はしのげるが降りが激しくなれば用を足しながら雨に濡れることになる。
同行したガイドの弁では、現地の暮らしを体験できますとのこと。たしかに家の外でシャワーを浴びる光景はテレビで見たことがある。
部屋の鍵はオートロックなどではもちろんなく、部屋の内側からはかんぬきで閉める。前述のトイレ・シャワーも同様。
部屋の外から施錠するときには鍵穴に鍵を差し込んで回す方式の錠が取り付けられていてこれを使用するが、この鍵穴に鍵を差し込んだところ無数の小さな蟻がワサワサと這い出て来てホラー映画さながらでさすがにこれにはゾッとした。
180°の熱帯雨林ビュー
バルコニーから見えるのは180度熱帯雨林である。
夜が更けるとカエルや野鳥あるいは野生動物なのか様々な鳴き声の大合唱がはじまる。
バルコニーと部屋を遮る扉にはガラスは嵌め込まれておらず、木製のブラインドのようになっている。
このブラインドのスリットにはかなりの隙間がある。網戸もないし、扉全体の建て付けにも隙間があるので、小さな虫が出入りするのを妨げないような作りである。
もとより部屋に入った時から壁にはヤモリが這い回っていたし、部屋の中央に蟻の行列が形成されていて夥しい数の蟻がせっせと何かを運んでいる。
この行列はベッドの下から壁を伝い天井を横断して向かいの壁と天井の間の狭間から出入りしている様子。
持参した電池式の電子蚊取りを行列のそばに設置したところ蟻たちはたちまち混乱をきたし徐々にその数を減らしていったが、しばし電子蚊取りを他の場所に移動させたところ、行列はいつの間にか復活していた。
電子蚊取りの効果だったのか、そもそも刺す類の虫が少ないのか虫に刺されるようなことがなかったのが不思議。
ダイニングは上々
食事は前述のオープンエアのダイニングでいただく。選べるメニューはなく夕食は定番のスリランカ・カレーであるが味は良かった。
ビールを所望するとジョッキがキンキンに冷やされていて美味しくいただけたのも良かった。
朝食はスリランカ名物のホッパーと、角切りパン、それにフルーツのみであるがこれも美味かった。
ダイニングの脇にある樹の枝に餌やり台が備え付けてあり、小鳥やリスが頻繁にやってくるのが見られる。
総評
文明に慣れきっていてそれを求める人にはかなりキツイかもしれない。これでスーペリアクラスの料金が設定されているのはちょっと納得しかねる。
よほどの物好き以外にはお勧めできない。が、スタッフはフレンドリーだし、動物や虫が好きで自然を求める人には最高の体験となるだろう。
2017年7月に訪問