「完璧なiPad/iPhoneファイルソリューションを提供」「iOS向け最高のデータ移行ソフト」という触れ込みのMacOSおよびWindows対応のアプリケーション「EaseUs MobiMover(イーザスモビムーバー)」を使ってみました。(この記事はレビューの依頼を受けて執筆しています)
公式サイトでフューチャーされているメリットは次の通り。
EaseUS MobiMoverを利用するメリット
- データを古いiPhone/iPadから新しい端末へ移行
- データ消失することなく、iPhone/iPadのデータを完全にWin/Macパソコンまでバックアップ
- iPhone/iPadのスペースを開放するため、データを他のデバイスに移行
- iPhone/iPadのデータを他のiOSデバイスとシェア
- iOSデバイス同士間或いはiOSデバイスとWin/Macパソコンの間で多数なカテゴリを転送可能
- iPhone/iPad上のコンテンツを追加/削除
これらの機能が完全無料で実行できるんですね。
公式サイト・ダウンロードはこちら↓
アプリケーションを起動して、接続を促されたら、デバイスをUSBケーブルに接続しましょう。(起動する前でもいいですけど)
なお、この記事ではMacの環境で説明していますが、Windowsも同様ですので、Windows環境の方は記事中の「Mac」を「PC」に読み替えていただければと思います。
できること
1クリック転送
まず最初に開く画面が「1クリック転送」の画面です。
シンプルで、なにができるのかがわかりやすいですね。
iOS端末からMacへ
いちばんニーズが高そうなファイルのバックアップの用途は、中央の「iOS端末からMacへ」ではないでしょうか。選択してみましょう。
2台のiOSデバイスを接続している場合は、どちらに対する操作なのかを選択します(①)。データの転送先となるMacのディレクトリを指定します(②)。
画面下方にある「写真」「音声」「動画」「その他」の4つのカテゴリーから、さらに詳細なカテゴリーを選んで転送するファイルタイプを指定することもできます。
今回はフルバックアップということで、すべてにチェックが入った状態で丸ごと転送してみます。
「転送」をクリックすると、選択したデータがMacに転送されます。
転送結果をMacのFinderで確認してみましょう。
データの転送先として指定したディレクトリに、新規に「Exported by MobiMover 201XXXXX」(201XXXXXは年月日)というフォルダが作成され、さらにサブフォルダが作成されデータが保存されました。
iOSデバイスの使用状況により異なると思われますが、先に選択したカテゴリに対応するかたちでサブフォルダが作成されるようです。
どのように保存されたか特徴的なところをみてみましょう。
写真データは「Picture」フォルダに保存されます。サブフォルダ「Album」の中には、iOSデバイスの「写真」アプリのアルバムに対応するサブフォルダが作成され保存されました。
「カメラ」アプリで撮影したビデオも、「Picture」フォルダの「Album」-「Videos」に保存されました。
音声データは「Audio」フォルダに保存されます。
着信音は「Ringtone」というフォルダに、ボイスメモは「VoiceMemo」に保存されました。ミュージックファイルは「Music」フォルダに、プレイリストがある場合はプレイリスト名のサブフォルダ(この画像の例では「PlayList01」)に、すべてのミュージックファイルが「All Song」フォルダに保存されました。
ここで、一つ知っておいた方が良いと思ったのは、転送したミュージックファイルを他のデバイスで再生しようとした時に、再生できるファイルとできないファイルがあるということです。
iTunesで購入した楽曲は、iTunesかQuickTime playerおよびiOSデバイスでしか再生できません。
iOSデバイスであっても、同じAppleIDでログインしていない場合は再生できませんでした。
これらの制限はそもそもiTunesミュージックの仕様ですからこのソフトとは関係ありませんが...
CD等から取り込んだミュージックファイルであれば、そのような制限はありません。
写真データ、音声データ以外で、面白いと思ったのはメッセージのデータの保存先の「Message」フォルダです。
「message.html」というHTMLファイルが作成され、「メッセージ」アプリの画面の見た目がそのままHTMLファイルに変換されています。
ふだんの「メッセージ」でのやり取りはプライベートなものでしょうから、Webページとして公開することは考えづらいですが、逆に公開することを前提にしたメッセージのやり取りを、即、Webに公開する手段としては使えるかもしれません。
このように、工夫次第ではいろいろ活用できそうな機能も搭載されていて、iTunesとは一味違った使い方ができそうです。
また、iOSデバイス内のデータをフォルダ分けした状態に一気に取り出してすぐに利用できるというのはiTunesにはないメリットと言えるでしょう。
ただし、取り出せるのはカテゴリー選択画面で選択できるiOS標準アプリのデータのみで、他のアプリの共有ファイル等は取り出すことができません。
iOS端末からiOS端末へ
iOS端末を2台接続することで、相互にデータをやり取りすることができるのがこの機能です。
転送できるデータの種類や、転送の方法は、Macに転送する場合と同様です。
iPadの映画と写真をiPhoneに転送してみました。
接続したデバイスがiPhoneなのかiPadなのかを判別して、画面の表示も変わるのが芸が細かくてイイですね。
映画は転送先のiPhoneの「ビデオ」アプリですぐに見られるようになりました。
写真は、転送先のiPhoneの「写真」アプリの「Macから」セクションに、新規に「By MobiMover」というアルバムが作成されて保存されます。転送時にアルバムも選択した場合は、転送元のアルバムも、この「Macから」セクションに作成されました。
ちなみに、写真の位置情報は保持されていませんでした。
ちょっと気をつけた方が良いと思ったのは「Macから」セクションに追加されたアルバムの写真はデバイス上では削除することができないということです。
通常、「写真」アプリで個々の写真を表示すると、右下にゴミ箱ボタンが表示され、そのボタンで削除できるのですが、「Macから」セクションの写真ではこのゴミ箱ボタンが表示されません(下画像)。
削除するには後で述べる方法でEasusMobiMover上で削除することになります。(ビデオの方はデバイス上で削除することができます)
また、編集する場合にはそのままでは編集することはできず、複製する必要があります。
このように、あらかじめ知っていないとおやっ?と思うところもありますが、どうなるかを知った上で活用すれば色々使えそうです。
異なるデバイス間でデータをやり取りしてすぐに利用できるようになるのはイイですね。
MacからiOS端末へ
Mac上のデータをiOSデバイスに転送する機能です。
「iOS端末からMacへ」で、全てのカテゴリにチェックをいれて丸ごと転送しておいたデータを、こんどは逆に丸ごとインポート(iOSデバイスへ転送)してみます(もちろんカテゴリーを選んでインポートすることもできます)。
バックアップしたデータから復旧するソリューションとしてiTunesの代替になりうるのか検証するために、いったんiPhoneのすべてのコンテンツと設定を消去(リセット)して、アクティベートし直したまっさらな状態のiPhoneにインポートしてみることにしました。
「iOS端末からMacへ」で転送したときに作成されたフォルダを指定します。
「インポート」をクリック...
インポートが完了したのち、iPhoneで確認してみました。
「iOS端末からMacへ」で丸ごと転送したフォルダを、逆に丸ごとインポートしたわけですから、元の状態に戻ってくれることを期待したのですが、そうはならないようです。
まず、読み込んだファイルのうち、写真のファイルは、「iOS端末からiOS端末へ」のときと同じように「写真」アプリの「アルバム」-「Macから」セクションに、新規に「By MobiMover」というアルバムが作成されて保存されます。デバイス上では削除できないのも同様です。
また、元々のアルバムは復元されませんでした。
気をつけた方が良いと思ったのは、Mac上の「Picture」フォルダの「Album」-「Videos」に保存されていた(もともとは「カメラ」アプリで撮影して、「写真」アプリ内に保存されていた)ビデオは、「写真」アプリ内には保存されないということです。
「カメラ」アプリで撮影したものであってもビデオは「ビデオ」アプリに保存されました。
音声ファイルは、「ミュージック」アプリに保存されます。ミュージック以外の、着信音や、ボイスメモも「ミュージック」アプリ内に保存されました。
整理すると、画像データはすべて「写真」アプリに、音声データはすべて「ミュージック」アプリにインポートされる。という仕様のようです。
改めてインポートの設定をする画面で選択できるカテゴリーを見ると、選択できるカテゴリーが「iOS端末からMacへ」や「iOS端末からiOS端末へ」と比べて少なくなっていて、細かな指定はできないようになっていました。
まあ、そもそも「復旧」ではなく「インポート」であって、違う機能ですから仕方ないですね。
データをカスタマイズ
初期画面の、上部メニューで端末の名前をクリックすると、カスタム画面が表示されます。
この機能では、「1クリック転送」ではできない個別のデータを管理できるようになっています。
「1クリック転送」でのカテゴライズと少々異なっていて、下方のカテゴリーのうち「その他」ではブック、メモ、ボイスメールが選択できます。
「写真」を選択してみましょう。
「1クリック転送」とは違って、個別の写真を選択して他のiOSデバイスやMacに転送したり、削除したりできます。
iOSデバイスではできなかった「写真」アプリのアルバム「By MobiMover」の写真の削除も、この画面で行うことができます。
他のカテゴリのデータも同様に管理することができます。
特筆すべきはアプリが選択できる点でしょうか。
インストールされているアプリを選択し、他のiOSデバイスやMacに転送、削除などができるようになっています。
ですが、他のiOSデバイスやMacへの転送を試みましたが、私の環境では一度も成功しませんでした。
今後のアップデートで解消されるのかもしれません。
動画のダウンローダー
個人的にいちばんメリットを感じたのがこの機能です。
「リンクを入力若しくはコピーをしてください」のフィールドにWebサイトの動画のページのURLを入力して「ダウンロード」をクリックすれば、「この動画の保存先」で選択したデバイスに動画がダウンロードされる仕組みです。
ちょっと面倒な動画のダウンロードが簡単にできてしまいます。
画面下の「人気動画」のボタンをクリックすれば、文字通り人気の動画サイトをブラウザで開くこともできます。
動画サイトでお気に入りの動画を見つけたら、そのページのURLをコピー・ペーストすればダウンロードできてしまうというわけです。
この機能だけでも、このソフトをインストールしておく価値があるかなと思ってしまいましたよ。
気をつけること
以上見てきたように、なかなか便利な機能が搭載された EaseUs MobiMover なのですが、iTunes と併用するときには注意すべき点があります。
このEaseUs MobiMover をレビューしたWebサイトをいくつか見てみたのですが、「iTunesと併用すると便利」みたいな記述があって、それどうなのよ?と思ってしまいました。
どういうことかというと、iTunes を使い慣れたユーザーであればもうご存知かと思うのですが、iTunes で iOSデバイスを同期したときには、常に iTunes の「iTunes Media」フォルダのデータで iOSデバイスが上書きされるということなんです。
もう少し、具体的にいうと、EaseUs MobiMover で iOSデバイスに転送したデータのうち、ミュージックやビデオは、iOSデバイスを iTunes で同期した時点で消えてしまうとうことです。
ちなみに写真のデータはiTunesでは管理していないので消えません。
なので、たとえば「動画のダウンローダー」でせっかくダウンロードした動画も消えてしまいます。
一回 iPhone で見たら消えてもいいというなら良いのですが、あとまで残しておきたいという場合には、いったんMacに転送・保存して iTunes に読み込む必要があります。
良いと思ったこと
実は今回 EaseUs というベンダーを初めて知り、事業所所在地が中国四川省ということで、どうなんだろうと思ったのですが、公式サイトにオンラインチャットが用意されていて、疑問点をいくつか質問したところ、即座に回答が返ってきました。
こういったところは国産のアプリケーションでもなかなかできないことではないでしょうか。
以上、どなたかの参考になれば幸いです。